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「つ」のローマ字表記は「tu」と「tsu」どっちが正しいの?

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キーボードで「つ」と打ちたい場合、「tu」でも「tsu」でも「つ」と表示されます。

でも、ローマ字での名入れの際には、「Mitsuko」など「tsu」で表記されることが多いですよね。

いったい「tu」の「tsu」のどっちが正しいのかもやもやしている方もいるのではないでしょうか。

そこで、本記事では「つ」のローマ字表記は「tu」か「tsu」のどっちが正解なのか、詳しく解説していますよ。

 

「つ」のローマ字表記は「tu」か「tsu」のどっちでもいい

 

まず結論から言うと、「つ」のローマ字表記は「tu」でも「tsu」でもどちらでもかまいません

現在の日本で使われているローマ字表記には大きく以下の二つがあります。

 

ローマ字の種類

  1. ヘボン式ローマ字
  2. 訓令式ローマ字

 

1.ヘボン式ローマ字

 

(1859年)にアメリカから来日したヘボン(James Curtis Hepburn, 1815-1911)が考案した表記法を基に改良されたローマ字表記がヘボン式ローマ字です。

「つ」“tsu”「し」“shi”「ち」”chi”と表記するのがヘボン式です。英語の発音に偏っている表記法とされています。

 

2.訓令式ローマ字

 

日本国内の標準として公に認められているのが、訓令式ローマ字です。内閣府が1954年にローマ字のつづり方として告示しました。

「つ」“tu”「し」“si”「ち」”ti”と表記するのが訓令式です。発音の正確さよりも規則性を重視した表記法とされています。

 

ローマ字表記を巡る変遷

 

小学校の国語の授業では現在でも訓令式ローマ字を学んでいますが、

人名や地名、パスポートの表記でもわかる通り現在はヘボン式ローマ字のほうが広く使われています

なぜこのようにごちゃまぜになっているのかといいますと、ローマ字表記を巡る歴史を知る必要があります。

大まかに経緯を説明すると、そもそも一番最初はヘボン式ローマ字が使われていたのですが、

ヘボン式が日本語を書くのにあまり適していないという声が出てきました。

そこで、物理学者の田中館愛橘が、つづりかたを日本語流にあらためた「日本式ローマ字」が1885(明治18)年に発案されます。

ですが、既にヘボン式に慣れていたひとも多かったので、結果として日本式支持者とヘボン式支持者で激しい論争になりました。

 

 

どちらがいいかの論争は長年続いていたのですが、ローマ字の方式が統一されないと地名表記も定まらないと海外から指摘を受けたこともあり、

文部省(※現在の文部科学省)が1937年に訓令式ローマ字を告示したんです。

この訓令式は日本式を改良してできた表記なので、この時点では、実質は日本式対ヘボン式は日本式(訓令式)の勝利ということになります。

 

現在は圧倒的にヘボン式ローマ字が使われている

 

訓令式が日本国内の標準として定められたにもかかわらず、現在では圧倒的にヘボン式ローマ字が使われています。

なぜこのようなことになったのかといいますと、第二次世界大戦直後の占領下においてGHQがヘボン式を採用する指令を出したことが大きな原因なんです。

そのため、 訓令式を用いる決まりにも関わらず、 道路や駅など英語表記はヘボン式ローマ字が使われるようになったんですね。

占領の時代が終わって日本が主権を取り戻した後は、1954年に内閣府がローマ字のつづり方として改めて訓令式を告示しました。

ここで注目すべきなのが、

「国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合に限り」ヘボン式、訓令式どっちを使ってもかまわないと定めたことです。

そもそもがローマ字表記を統一するために長年議論してきたにも関わらず、

ここにきてヘボン式でも訓令式どっちを使ってもいいと決めてしまったんですね。

ヘボン式でも訓令式でもいいとなった場合、経済のグローバル化が急激に進む時代のなかで、

国際共通語となりつつある英語の発音に近い書き表し方であるヘボン式のほうが積極的に使われるようなります。

そのため、日本の公式では訓令式なのに公ではヘボン式が使用されているという現象が起きているんです。

 

まとめ

 

「つ」のローマ字表記は「tu(訓令式)」と「tsu( ヘボン式)」のどっちでも大丈夫ですが、現在、圧倒的に主流なのはヘボン式です。

なので特別なこだわりがないのであれば、ヘボン式の使用で統一するのがいいかと思います。

ちなみに、国土交通省(パスポート)や外務省(道路標識)をはじめ、中央省庁の多くはヘボン式を使用しています。

長年訓令式による教育を推し進めてきた文部科学省ですが、 時代を受けて将来的にはヘボン式に流れる可能性もあるかも?

 

Jun
Jun
ローマ字表記を巡る歴史はとても興味深いです。気になるひとは自分でも調べてみましょう!

 

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