「いいかほりだ」という表現を使う方をしばしば見かけますし、人名で「かほり」という方もいらっしゃいます。
この「かほり」はいったいなんて読むのでしょうか?
気になる方のために当記事では「かほり」の読み方や意味について詳しく解説していますよ。
「かほり」は「かおり」と読む
「かおり」の旧仮名遣いは「かをり」なのに「かほり」と思いがちなのは何故なのかねえ。
— 𝕞𝕚𝕤𝕚𝕚𝕥𝕒 (@misiita) June 1, 2021
「かほり」は「かおり」と読みます。
ただ、知っておく必要があるのは「かほり」は間違った仮名遣いだという点です。
「かおり(香、薫、馨)」を正しい歴史的仮名遣いで表記すると「かほり」ではなく「かをり」と書きます。
昔は「お」と「を」の発音に区別があったのですが、1946年11月16日に現代仮名遣い「かおり」と表記するようになりました。
なぜ「かほり」が使われるようになったの?
かおりの旧かな「かほり」は間違いで、本当は「かをり」だと知った。「にほひ」の混同かと思いきや、どうやら「シクラメンのかほり」が戦犯らしい。そして作詞作曲の小椋佳の妻が「佳穂里」…小椋は東大卒の頭脳明晰、旧かな遣いくらいわかってる。つうことはわざとだね。
— 懐かしい昭和時代 (@natsukashi__) October 9, 2016
「かをり」が正しいにもかかわらず、なぜ「かほり」という言葉が現在でも使われているのでしょうか?
それにはいろんな説がありますが、
布施明さんの『シクラメンのかほり』が1975年に大ヒットし、これが「かほり」という表記を広く浸透させるきっかけになったのは間違いないみたいですね。
『シクラメンのかほり』がヒットしたときにも、「かほりという歴史的仮名遣いは間違い!正しくはかをりだ!」という声も挙がっていたそうなのですが、
普通のひとは「かをり」だろうが「かほり」だろうが気にしないので、特に訂正されることもなく「かほり」が浸透しました。
そもそも、『シクラメンのかほり』の作詞作曲を手掛けている小椋佳さんは東大卒の超エリートなので、
「かおり」の正しい歴史的仮名遣いは「かほり」ではなく「かをり」ということはまず間違いなく知っているはずなんですよね。
つまり、間違いだと知っていてわざと「かほり」という表記にしたという可能性が高いんです。
ちなみに、小椋佳さんの奥様のお名前が「佳穂里」さんなので、愛する妻の名前「佳穂里」=「かほり」からとっているのではないかともいわれています。
ただ、夫人の名に由来するという説は小椋佳さん本人が否定しているようなので、結局は謎のままです…。
平安後期から江戸時代までは「かほり」が使われていた?
明治時代の国語辞典「言海」にも「かをりの誤り。」として「かほり」の項がある程なので、どうやら昔から「かほり」と書く人は多かった様です。(藤原定家が初めてまとめた仮名遣の決まり(定家仮名遣)では「かほり」だったらしいですが、後代の人が訂正した様です) pic.twitter.com/c3Tm78pfDQ
— 押井德馬@文学フリマ東京35 T-7「はなごよみ」 (@osito_kuma) October 22, 2016
昔は「かをり」ではなく「かほり」という言葉が使われていたみたいです。
平安末期の代表的な歌人である藤原定家がまとめた「定家仮名遣」では「を」(ワ行オ段)の「かをり」を「かほり」としていました。
それから500年ほど経ち、江戸時代後期に契沖という国学者が「契沖仮名遣い」を提唱するのですが、
この「契沖仮名遣い」を修正・発展させてきたのが「歴史的仮名遣い」で、明治時代から第二次世界大戦終結直後まで公式に使われます。
ただ、昔は「かほり」という言葉を使っていたからか、「歴史的仮名遣い」になってからも「かをり」ではなく「かほり」を使ってしまう方は少なくなかったみたいですね。
まとめ
本記事のポイント
- 「かほり」は「かおり」と読む。
- 「かおり」の正しい歴史的仮名遣いは「かほり」ではなく「かをり」。
- 布施明の『シクラメンのかほり』が「かほり」という表記を浸透させる大きなきっかけになった。